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ドイツ・ノイルッピン「歓喜のニューイヤーコンサート」

昨日は東京芸術劇場でオーケストラのニューイヤーコンサートでした。
コロナになる前にドイツはノイルッピンで行われたニューイヤーコンサートに行った際とある記事を書く機会があり書き残した文章があったのでブログにも載せようと思います。

「歓喜のニューイヤーコンサート」

私がドイツのノイルッピンの地を訪れたのは、まさに2020年の新年を迎えた日のことでした。

目的は、地元の新座市と姉妹都市の関係にある湖と森に囲まれた風光明媚な街・ノイルッピン市で行われるニューイヤーコンサートを鑑賞するためです。

演奏は、現在、世界的に注目を浴びているブランデンブルク国立管弦楽団フランクフルト。そして同楽団で首席客演指揮者を務める浮ケ谷孝夫氏による指揮ですので、否が応にも期待は高まります。会場は、ノイルッピンの歴史ある教会の中に、特別に設営されたステージで行われ、雰囲気も最高です。

地元の人にとってニューイヤーコンサートは、恒例の一大イベントで、当日は鑑賞を楽しもうと多くの人々が続々と集まってきました。リハーサル中にもかかわらず、お客さん達は会場のエントランスに溢れかえり、新年の喜びとコンサートへの期待が混在し、その場はワクワクした熱気に包まれていました。

そして開場すると、ホールに入るお客さん同士が、「フローエス・ノイエス・ヤー」と挨拶を交わし合っています。日本語に訳すなら、「明けましておめでとう」と呼びかけ合っているのですが、知り合いでなくても挨拶を交わしているようです。なぜなら、隣にいたご夫妻が見ず知らずの私にも、笑顔で同じように挨拶をしてくれたからで、独特のフレンドリーな雰囲気も味わえ、異国文化に触れられた思いです。

満員の観客が見つめる中、コンサートは始まり、まずはヨハン・シュトラウス作曲の『こうもり序曲』が演奏されました。オペレッタこうもりは、年末年始の風物詩のような曲ですが、浮ケ谷氏率いるオーケストラメンバーの奏でるメロディは、「こんなに楽しい音楽があれば、今年一年も幸せだよ!」と言ってくれているかのようです。

続いてノルトハウゼンにあるテアーターで活躍する若手のソプラニストAmelie Petrich の登場です。彼女は、フランツ・レハール作曲『メリー・ウィドウ』より

『ヴィリアの歌 Vilya- Lied 』を朗々と歌いあげました。透明感のある美しい声と自然なパフォーマンスがとても心地好い素晴らしいものでした。

コンサート前半は、オーストリアのウィーンの作曲家、そして後半はリヒャルト・アイレンベルクや、ベルリンのオペレッタの父と呼ばれているポール・リンケなど、ドイツの作曲家の作品を楽しみました。

演奏された『ウィーンからベルリンへ』という曲がコンサートの副題にもなっていましたが、プログラム構成も、その名の通りウィーンからベルリンの黄金期を堪能できるとても興味深いものでした。

アンコールでは『ラデツキー行進曲』が演奏されましたが、これはサプライズで、ノイルッピンの市長が指揮をとりました。さらに、アンコールの最後には、ちょうどこの日が誕生日だった浮ケ谷氏のために、オーケストラも観客も会場の全員が一体となって、ハッピーバースデーの大合唱。お陰で、その場の人々の歓喜の余韻がいつまでも残る素敵なニューイヤーコンサートでした。

そして、コンサートというものは、けっして演奏者の一方通行ではなく、お客さんと共鳴し合って作り上げるものだということを改めて痛感した貴重な体験となりました。

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昨日も上記に挙げた曲目をいくつか演奏しました。

個人的にはカールマン/オペレッタ「チャールダーシュの女王」から"覚えているかい"の冒頭のチェロのソロに聴き惚れました。

今年も音楽に溢れた一年にしたいです。